今回は一般的に使用されている溶接機、被覆アーク溶接機、半自動溶接機(ノンガスタイプ)、Tig溶接機の内、TIG溶接機についてお話ししたいと思います。
Tig溶接機、聞いたことあるぞ。
近年DIYで溶接をする方が増えていて、アーク溶接や半自動溶接はもう当たり前になりつつあり、職人の世界でしか使用されていなかったであろうTig溶接が大分身近になりました。
そのため種類も増えてきて、また購入者を悩ます種になっているのも事実です。
そこで私が一番得意とする(溶接歴が長い)TIG溶接について、購入を検討されている方に少しでも参考になればと思っています。
TIG溶接とは(Tungsten Inert Gas)の略であり、電極にタングステン、シールドガスにアルゴンガスやヘリウムガス等を使用して行う溶接の事です。
Tig溶接はアーク溶接や半自動溶接に比べて仕上がりが圧倒的に綺麗です。バチバチっと言う音や火花が出ることが無く、不活性ガスの中でアークを発生させて、アークにより母材を溶かして溶接します。溶加棒を使用し、溶接する所は不活性ガスで覆われているので、スパッタがほとんど出ないのが特徴です。主に鉄、ステンレス、アルミの溶接が可能です。
鉄、ステンレスだけなら直流式。
アルミも溶接したいなら直流/交流式を選ばないといけません。
今まで紹介した溶接機の中で一番価格が高い方(周辺機器含め)だと思いますが、私は初心者にこそ使って頂きたいです。
と言うのも、DIYで溶接機を購入される方と言うのは(主観ではありますが)アクティブで、創作意欲の強い方が多いように思います。特に小物類の製作や外観を気にするようになるとアーク溶接や半自動溶接では限界がきてしまいます。これから溶接機の購入を検討しているなら、値段は高くなりますが、ぜひTIG溶接機も候補に入れて頂きたいです。
機種の中には一台でTIG溶接とアーク溶接も出来るものがあるので、そちらも選んでみても良いでしょう。
同時には使えません。切り替えスイッチが付いています。
DIY向けとして販売されている主なTig溶接機は100V/200V兼用ですので環境が許すなら200Vでの使用をおすすめします。(3mm程度の材料でしたら100Vでも大丈夫です)
TIG溶接に必要なものは何があるの?
TIG溶接を行うにあたり、タングステン電極棒、溶加棒、アルゴンガスとレギュレーター等が必要となります。タングステンは基本10本セットで販売されていて、DIYレベルなら十分だと思います。セリタン入りタングステン電極棒の1.6mmを選べばある程度の板厚、上記の材質をカバーできます。
溶加棒は鉄、ステンレス、アルミで専用を使用しなければいけません。1.6mmを選定すればDIYでは問題ないと思います。私の住んでいる地域ではすべて1本単位で購入出来るので、皆さんもお住いの地域で調べてみて下さい。
アルゴンガスは地元でガスを扱っている会社から購入してください。地域によって値段が違うのでこちらもお調べください。(レギュレーターはなるべく国産を選んで下さい。)
私もネットショップで購入したTIG溶接機を使用しています。それがこちら👇
この機種で鉄は0.8mm~9mm迄、ステンレスは1mm~6mm迄、アルミは0.5mm~3mm迄は溶接していています。業務用機器にはかないませんが、価格は約10分の1で、DIYでは十分なスペックではないでしょうか。
アーク溶接、ノンガス半自動溶接、TIG溶接、どれもメリット、デメリットがあります。
被覆アーク溶接
メリット①屋外での作業が可能(風が吹いていても溶接出来る。)
メリット②他の溶接機に比べ価格が安い(構造がシンプルで点検しやすい)
デメリット①難易度が高い(コツをつかむまでに時間がかかる)
デメリット②スパッタが多くスラグの除去作業が必要(処理に手間がかかる)
ノンガス半自動溶接
メリット①比較的簡単(両手でトーチをしっかり持てる)
メリット②連続溶接が可能(溶接棒を取り換えないで済む)
デメリット①ノンガスワイヤーが割高(アーク溶接との比較)
デメリット②スパッタが出る(スラグはあまり付かない)
TIG溶接
メリット①溶接仕上がりが綺麗(腕の差はあるが歴然)
メリット②スパッタがほとんど出ない(処理の手間が省ける)
デメリット①屋外での溶接には不向き(風の影響を受けやすい)
デメリット②ガス代がかかる(あくまでも消耗品)
簡単に説明すると以上ですが、ご自分の使用する環境に当てはめて機器を選定して欲しいです。
DIY溶接はそれほど難しくは無いので、是非趣味の一つに入れて欲しいです。
それでは、皆さん溶接をもっと身近に!